父はオーディオマニアだったので、子どもの私を何度か秋葉原へ連れて行った。だから私にとって秋葉原は電気街そのままなのだが、今やアキバと呼ばれすっかり“若者の聖地”となってしまった。
その秋葉原で7人が殺されるという通り魔事件が起き、そのことで今、日本中が揺れている。この事件についてはこれからいろいろな角度で解明されていくだろうけど、私が今一番気になるのは、この容疑者の25歳の青年が派遣労働者であったということだ。
ネットの掲示板に「自分が誰からも必要とされていないこと」などが綴られていた。仕事に行ってロッカーを開けたら自分の作業着がなくなっていた。彼は「辞めろってか」と思い逆上して暴れたという。
今、若い人の2人に1人は非正規雇用の形態で仕事をしている。そしてそういう状況の中で多喜二の書いた「蟹工船」が異常な売れ行きだそうだ。毎日が厳しい、辛い、鬱積した気分をどうしていいかわからない、若者の現実。
私は大人として、いくらかでも社会に責任ある者として、このたびの事件はこの25歳の青年も犠牲者なのだと思う。確かにこんなことを仕出かしたことは許されることではない。しかし、若い人をここまで追い詰める現実ってなんだろうか?と思う。
どんなに酷く辛い日々だろうと、人間はここまで堕ちれるだろうか。このような事件は社会の産物なのだ。ここまで、社会全体がイラついているということだ。病んでしまっているということだ。この社会の病み方は極めて深刻だ。決して1人の異常者の仕業と片づけられるものではない。
どうしたらいいのだろう?私に何ができるだろう?
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