こんな相談をいただいた。
「妹が高齢の父親と2人でかもめ団地に住んでいる。父親が亡くなったら、そこを出ていかないといけないと聞いている。できればそのまま住めるといいのだが・・・・」
これは入居者の名義変更、名義継承の問題だ。
このことは以前にも聞いたことがあるので、何を根拠にこんなことになっているのかと調べてみると、2005年に国土交通省から出された通知によるものだということがわかった。
その中には公営住宅の入居継承資格を「原則、配偶者のみ」とあり、原則的には親子間の継承を認めないとするものだった。
つまり、夫が亡くなった場合なら引き続き妻が住めるが、親が亡くなった場合子どもは住宅を明け渡さなければならないということだ。
県営住宅に関する条例を読みたいと思ってネットで調べてみたが、見つからない。管理運営している指定管理者の東急コミュニティーに直接問い合わせてみたら、教えてくれた。
親子間の継承については原則認められないが、例外が2点あった。
①子どもが60歳以上であること
②月の収入が8万円以下であること
引っ越しの猶予は1年だという。
つまり、年齢が若く一定の収入のある人は認められないので、1年以内に退去せよということだ。
国土交通省のお役人は「公営住宅はみんなが入りたいと思っているところ。公平性の観点から、多くの人が利用できるようにしてほしいと各県に通達しました。」・・・・こんなふうに言うだろう。
そして、この通達に従うか否かは各自治体の裁量になっている。
2011年現在で、全国の自治体がどの程度の割合でこの通知を受け入れているかは、わからないが、少なくとも神奈川県は受け入れたということだ。
さて、当該の方だが、例外に当てはまる方なので、手続きをすればそのまま住んでいられることになると思う。昨日、留守電で伝えたので、今日改めてお話する。ほっとされることだろう。
しかし・・・・いくら公平性と言っても、今まで住んでいた住居に住み続けることができなくなるというのは憲法に抵触するのではないだろうか。
国の最低基準の生活を保障されている、つまり生活保護受給者の場合、転居費用は保障されているが境界層の方々はどうするのだろうか。引っ越すにしても、畳、ふすまの入れ替えなど一時的に費用がかかるはずだ。
しかも、そもそも低所得であるがゆえに公営住宅に住んでいるのだから。
公平性というならば、もっと公営住宅を増やして入居を待っている人々を受け入れられるパイを大きくしたほうがいいと思う。
神奈川県などは、毎年インベスト神奈川という事業で大企業に1年で50億円もくれてやっているのだ。この50億円で県営住宅を増設したほうが県民に喜ばれるだろう。
こうして、具体的に1つ1つ見ていくと、神奈川県政にモノ申したいところが出てくる。
松沢知事は退かれる。
この際、納めた県民税がしっかり暮らしに結びつくような当たり前の県政をやってくれる知事に誕生してほしい。
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