高校の世界史の授業だったか・・・ラスコー洞窟の壁画の話を教師がしてくれた。「描かれている動物の足の運びの洞察の素晴らしさを芸術的だと言って称える学者が多いが、芸術というより、それは生きるために必死で獲物の動作を捉えた当時の人々の狩りの能力だろう。」
人間にとって芸術とか文化ってなんだろう?
憲法25条では「健康で文化的な最低限度の生活・・・・」とうたわれている。ここでいう文化的なとはどういう意味だろう。文化という言葉の中には「野蛮」「未開」とは対極的な意味が込められている。つまり、ここでいう文化的なというのは現代的な生活を享受できるということだろう。
先日、芸術劇場の15周年記念のオペラを観にいってきた。生まれて初めてオペラなるものを体験した。オペラなんていうと「ザ・芸術」みたいで、東京下町で育ったがらっぱちな私としては高尚過ぎて背中がムズムズするかなと思った(笑)映画やドラマを観る目で語れば少々物申したい部分もあるが、それは横に置いといてっと。人類の普遍的な生と死とか、愛とか、争いとかそんなものがモチーフになっていて、それをまたオーゲサに描いていて少々閉口した。バックグラウンドの知識の乏しさからくるものだとは思うけど、感激!には程遠いというのが正直なところだった。(日本特有の?)縦型電光字幕を読みながら、オーケストラと歌手の音楽を聴き、同時に踊りや演劇を観る。これが総合舞台芸術というものなのかぁと驚いた。しかも字幕は詩みたいな文語調なので自分自身で現代言語に翻訳しなきゃならないときてた。脳内のいたる部分をフル回転させることが忙しくて感動どころじゃなかった(笑)
浦賀で文化活動を長年している方が「歴史や文化を掘り起こすことで教訓を得る」とおっしゃっていた。教訓・・・深い言葉だ。現代を生きる私たちへのメッセージ。そしてキーワードは継承。人は死んでも文化や芸術は引き継がれていく。生活の様々な部面で発見、発明されたものをもっと洗練されたかたちで後世へ残していく。そう考えると本当は生活と芸術の間にはボーダーラインはないのかもしれない。ラスコー壁画のように。
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