相談活動で知り合ったKさんが亡くなった。
Kさんはいわゆるホームレスだった。生活保護を取るにあたり、アパートを一緒に探した。すべてが上手くいき、生活保護の手続きも済んで、生活が軌道に乗った頃に、ご本人も知らないところで、お姉さんが年金をかけていてくれたことがわかった。その年金をさかのぼってもらえることになり、300万を越えるお金を今度は一瞬にして手に入れることになった。Kさんはこの問題が出てきたときに、すぐに私に相談をしてくれた。私は相談活動の中で得た経験から、市役所生活福祉課との信頼関係を損ねることが一番ご本人にとっては良くないと思い、全てを率直に打ち明けることを促した。結果、kさんの生活保護は廃止となった。
奇しくも昨日の報道で、06年の受給世帯は107万世帯。不正受給と思われる件数が1万4700件で90億円と出た。大変忌々しき事態だと思う。しかし、これは生活扶助費を減らすために、厚生労働省が意図的にマスコミに流したとも思えるような報道だとも私は思う。北九州市の行ってきた非人道的な許すことのできない生活保護打ち切り、これが大きく取り上げられ社会問題化した中で、巻き返しとも思えるような厚生労働省の報道だ・・・・私の見方は偏見だろうか?
話はkさんにもどる。kさんは実は、300万円など要らない、このまま保護を取っていたいと言っていた。私はkさんのこの発言から、生活保護というのは単にお金が出るというだけでなく、ご本人に安堵感を与えるものなのだということを学んだ。kさんの人生を私はすべて知っているわけではない。しかし、おそらくとても不安定な人生だったのだと思う。だから、生活保護が受給できてホッとしたのだと思う。それなのに、自分のあずかり知らぬ年金が出てきた。本音を言えば迷惑だったのだ。それでも、私は彼を説得し「まずは年金をもらいそれを使い生活しましょう。預貯金がなくなったら、必ず私が再び生活保護の受給のお手伝いをしますから。」と言って約束をした。そして2年ほどたってkさんから電話が来た。私は約束どおり一緒に生活福祉課へ行き生活保護受給のバックアップをした。
それから、もう、1年半くらいたつだろうか。持病もないkさんはお年の割にはお元気だった。連絡をくれたTさんの話では4ヶ月くらい前から具合が悪かったようだ。しかし、病院にはかかっていなかったらしい。生涯結婚もされずに晩年Tさん家族と懇意になった。
幸せだったんだろうか?kさんの人生。
人の命ははかないなぁと思う。
kさんを通していろいろ勉強させていただいた。
ありがとう。kさん。
ご冥福をお祈りします。
下記の方より画像拝借
http://www.bagatelle.co.jp/database/db_frame/modern/datafile_m/margaret_merril.html
コメント