横浜そごう美術館の「金子み
すゞ展」へ行ってきた。
金子みすゞと言えば、最近では「こだまでしょうか」が何度も何度もテレビで流れているし、“みんなちがって、みんないい”で有名な「私と小鳥と鈴と」でおなじみ。
私が一番衝撃を受けたのは「大漁」という詩。
大漁
朝やけ小やけだ
大漁だ。
大ばいわしの
大漁だ。
はまは祭りの
ようだけど
海のなかでは
何万の
いわしのとむらい
するだろう。
これだけの短い詩だけれど、とてもショッキングだ。
浜では漁師たちが祭りのように浮かれているが、
海の中ではたくさんの鰯が人間に持っていかれて
嘆き悲しんでいるという詩。
浜と海の中
鰯と人間
獲る者と獲られる者
喜ぶ者と悲しむ者
そのコントラストが描かれている。
みすゞさんはどこにいるのだろうか。
みすゞさんは神のように俯瞰的にものを観ている。
私はそこにたまげさせられる。
つもった雪
上の雪
さむかろな。
つめたい月がさしていて。
下の雪
重かろな。
何百人ものせていて。
中の雪
さみしかろな。
空も地面もみえないで。
積もった雪は積もった雪で、
その雪に上も下も中もあるものか。
しかし、みすゞさんには積もった雪は全部一緒じゃないらしい。
上の雪も下の雪も幸せそうじゃない。
それなら中の雪は幸せなんだろうって思うと
中の雪は実は一番さみしいらしい。
最後にどんでん返される。
不思議な詩。
観点を変えると喜ばしいことが
実は残酷であったり、
大変だと思っていても、
実はもっと大変な者がいたり
そんなふうに
みすゞさんはここにいたかと思うと
あそこにいたり、縦横無尽に動き回っているようだ。
彼女は26歳でこの世を去っている。
私は今46歳だから、すでに彼女より20年長く生きている。
毎日毎日あくせくしてるんだけれども、
今日は少し考え事などできた気がする。
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