2005年1月3日に横須賀で米兵リース・ジュニア・ウィリアム・オリバーによる女性強盗殺人事件が起きた。
妻を殺された山崎さん(画像の人物)は現在、米軍と国に対して裁判を起こしてたたかっている。今日はその8回目の裁判の報告集会が横須賀であった。今回の裁判は被告オリバーの証人尋問であり、裁判を見守る多くの人々の耳目を集めた。
今日聴いた内容をできるだけ要約して書き出していきたい。かなり私の主観が混じって書きとめているので、もっと客観的な中身をお知りになりたい方は後日弁護団から出される文書を手に入れていただきたい。
被告のオリバーは顔色も良くがっちりとと言うかお腹が出ていて“いいもの食ってる”感じだったそうだ。実際、受刑中の米兵はビーフステーキやデザートを食べていて運動やシャワーも毎日だそうで、日本の受刑者とは雲泥の差が国会でも指摘されている。そして米海軍の人間が何度もオリバーのところを訪れていたという。軍法会議にもかけられていず、身分は米軍人のままで裁判の費用も自分持ちではない・・・裏を返せば米軍もちということだ。報告した弁護士の1人は“米軍に飼われている”と表現していたが、私も同感。
彼は学生時代に勧誘を受け志願して米兵になった。2004年横須賀へ来てキティーホークの乗組員として艦内で生活した。3段ベッドで眠り、フックをワイヤーに引っかけて戦闘機を止める単純かつ危険な任務についていた。事件の以前にスーパーホーネットが着艦に失敗して米兵6人が大きな怪我をするという事故が起きていたので、この任務者にはかなりな緊張や加重ストレスがあったことは容易に想像できる。余談だが、最近テレビで放映された「ステルス」という映画にも戦闘機が空母に着艦するシーンが出てきた。確かに轟音の中で瞬時に判断が要求される過酷な任務だった。
日本の文化の事前教育など基礎的な教育は受けていないとのことだった。そして白カードと青カードという2種類のカードがあり、前者は夜12時までに帰宅しなければならないとされ、後者はオーバーナイトつまり夜どおし外出可のものだった。オリバー被告は青カードを持っていた。
ベース内では外出時と帰宅時2か所でチェックを受けるしくみになっていたが、驚いたことに殺人事件を犯して血のついた服を着ていた被告は2か所ともパスして艦内に戻り服を着替えている。ベースのチェックがいかにずさんかがうかがい知れる。
あとから、発言された方のご意見では、このオリバー被告も昨年07年7月に馬堀海岸駅付近で2人の女性を刺した米兵もアメリカに住んでいる頃には、“女性に手をあげたこともない”とのことだった。人物がやさしければやさしいほど、その豹変ぶりに疑問が浮き彫りになる。
事件が起きると米軍は決まって「綱紀粛正」をいう。そして「飲酒禁止」だ。確かにアルコールによってタガが外れる、残虐さにスイッチが入るというのはあるだろう。しかし、もっと本質的なことを考えれば、それはやはり軍隊であるということからくるものだと思う。
今回のタクシードライバー殺人事件後、米軍はCAREプログラムというものを出してきた。それぞれの頭文字から日本語にすると“統合された”“反暴力のための”“反省”と“教育”だそうだ。このプログラムを市長に説明に来たケリー少将は“ポイントは暴力の兆候を見逃さないことです”と言っている。私はこれを聴いて呆れた。戦地ではあらん限りの暴力三昧の兵隊がここ横須賀では借りてきた猫状態でいられるだろうか?軍隊は暴力の殿堂だったのではないか。この二律背反する提言はすでに自己矛盾を起こしている。こんなもので横須賀市民は納得するものか。なめんなよ・・・。そう思った。
一連の報告の後、山崎さんは被告に対して「煮えくりかえる思いだ」と言われた。そして強力な弁護団に対しては「嬉しくてやる気が出る。」とも。
この裁判はとても大きく本質的な意義をもっている。妻を殺された怒りを勇気に変えてたたかっている山崎さん。これからも応援しともに基地を撃つたたかいを進めていきたい。
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