「フルメタルジャケット」を観た。1987年にスタンリー・キューブリック監督が製作したベトナム戦争の映画である。
今日は息子も休みで家に居たので、「火曜日は初めて一般質問やるんだ。内容は、これこれで・・・」と話しているうちに、軍隊とは何ぞや~みたいなことで話が盛り上がった。それで、「「フルメタルジャケット」を観ればわかる。」と息子が言うので、さっそく観てみた。
ベトナム戦争そのものも描いているのだが、最初の新兵訓練所のシーンが細かくしつこく描かれているところをみると、キューブリックはここに主眼を置いているのだということがわかる。普通の若者が、罵詈雑言を浴びせられ、徹底的に人格を否定される。規則と肉体的訓練、上官への絶対的服従のなかで、殺人マシンへと変貌する。
戦争というものは極論すれば、どうやってすばやく、たくさん、人を殺せるかだ。そのためには人間らしい感性は邪魔なのだ。そういうことがキューブリックらしく、エキセントリックにコミカルに描かれている。
根岸峰夫さんが貸してくれた元海兵隊員アレン・ネルソンさんの「戦場で心が壊れて」という本の中にも「日本に駐留している米軍兵士の犯罪が減らないのは、人を殺すための集団という軍隊の本質があるからだと思うのです。」と明確に出ていた。
ジェームス・ケリー米海軍司令官が米兵犯罪が起きた後に「綱紀粛正」と言うとき、それは表と裏があるのだ。横須賀市民向けには“謝罪”のポーズ。しかし、基地内米兵へ向けては「戦略上の問題」として戒めているのだ。こういう軍隊の心理もこの映画を観て納得する。
横須賀にいる米兵は気のいいアメリカ人などではない。軍隊として任務を帯びている兵士なのだ。私たちはお人よしではいられない。つくづくそう思う。一般質問で、米兵犯罪について市長に質問をする。「フルメタルジャケット」はそのために観た。
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