小津安二郎監督の「東京物語」を観た。私はどちらかというと邦画は洋画に比べて完成度が低いと思ってるフシがある。それはゴジラが都会のビルを壊して暴れるといったあたりの特撮の技術が稚拙という意味合いがあるのだけど、精神性を重んじたドラマに関しても洋画のほうが優れている感じがする。でも、これは、たぶん私の浅はかでしかない邦画鑑賞の数からくるものだと思う。
「東京物語」は名作といわれている邦画なのでいつか観なくちゃと思っていた。このブログに茂木健一郎先生の本のことを書いたら「化粧する脳」という本を薦めてくださった方がいた。で、さっそく読んでみた。この本に関する感想はまた後日書くとして本の中で茂木先生がこの「東京物語」のことを盛んに書いていた。で、観たくなった。
笠智衆と東山千恵子演じる老夫婦の会話は何ともゆったりしている。尾道の風景とそれらが醸し出す雰囲気が地方と「古き良き日本」を象徴している。一方、東京で町医者をする山村聡や美容室を経営する杉村春子ら子どもたちの日常は高度経済成長を迎える都会の慌ただしさを映している。老夫婦は子どもたちのところへ泊りがけで遊びにやってきたが、子どもたちは忙しく十分に世話ができない。熱海の温泉旅館へ行かせたが、そこも若者が夜通し麻雀をやっていて心が休まらない。原節子演じる戦死した二男の「嫁」のところで泊めてもらい優しくしてもらう。その後尾道に帰って間もなく老母は亡くなる。・・・・こんなストーリー。
地方と都会のコントラスト。親の理想と子どもの現実。あるいは血縁より他人の優しさ。幸せとはなんなのか・・・。小津監督が描きたかったものは何なのか。何もかも包摂するような笠智衆さんの物言いが印象的だった。
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